まちのおとレポート

パン作りで自己実現へ~「かふぇあんてろーぷ」を運営するセルプきたかせ~

緑豊かな夢見ヶ崎動物公園のふもとにある複合福祉施設「セルプきたかせ」が運営するパン屋「かふぇあんてろーぷ」。今回はこちらでパン作りを通してどのように自立支援を行っているか施設長の柳澤弘毅さんにお話を伺ってきました。

「かふぇあんてろーぷ」では夏には冷蔵庫で販売するマンゴーのパンといった四季折々のパンを含め、約100種類ほどが製造されます。ちくわパンが特に人気だそうで、今回伺った際にはあんパンや食パンなど定番のパンから絵本「からすのパンやさん」に出てくるパンをモチーフにしたアップルクリーム入りのひよこパン、マロンクリーム入りのぞうパン、キャラメルクリーム入りのうさぎパンなど動物の形を模した可愛らしいパンなど様々な種類のパンがありました。

絵本作家のかこさとしさんが幸区で活動していたことにちなんで、幸区役所と一緒に新たに開発したそうです。幸区制50周年記念イベントでも販売され、とても大盛況だったとか。

併設されている保育園の園児やその家族の方々も利用するため、食べやすいように小さなパンにするなどお客様がお買い求めしやすいような工夫をしています。食パン製造では経験者に関わってもらうなどパン作りへのこだわりも感じられました。

これらの可愛らしいパンが自立支援においてどのような役目を担っているのでしょうか?

実は施設の利用者の方も製造スタッフとして携わっており、「挨拶ができる」「集中して取り組める」といった項目を達成することで給与も上がるという仕組みを導入されています。

「セルプきたかせ」の「セルプ」とはSELF-HELP(自助自立)から名付けられ、その名の通り社会的自立を目指すという意味も込められています。利用者の方にパン作りをしてもらうことでやりがいを感じてもらったり、働いて得た給与を好きな事や好きなものに費やしてもらったりと、利用者の方と社会を繋ぐことへの柳澤さんの強い気持ちがインタビューを通して伝わってきました。

パン作りでは、一緒に働く方々とのコミュニケーションや、パン作りの楽しさを感じることができますが、他にもクリーニングや清掃作業、紙箱の組み立てといった軽作業があり、自分自身の力を伸ばし活かせるような取り組みがされています。

コミュニケーションが苦手だと感じている方でも取り組めるように自宅で作業して納品する形をとっているものもあり、「かふぇあんてろーぷ」内でもボールペンやマスコット、などが販売されています。一つ一つが緻密でとてもきれいな作品でした。

このように「かふぇあんてろーぷ」では、お客様へおいしいパンを提供することを大切にすると共に、利用者の方々一人ひとりに寄り添い、自己実現をしてもらえるような取り組みも重視されています。利用者の方々にもっと還元できるような仕事も見つけていきたいと前向きなお話も伺えました。私たちがパンやさおり織を買うことで施設の利用者の方々に「自らが作ったものを買ってもらう」という「ものづくり」の楽しさを伝えることができるかもしれませんね。

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「かふぇあんてろーぷ」
住所    :川崎市幸区北加瀬1-31-5
お問い合わせ:044-580-3080
営業時間  :月~金、祝前日: 10:30~16:00 (料理L.O. 14:00 ドリンクL.O. 15:45)
定休日   :土、日、祝日
運営    :社会福祉法人 長尾福祉会
http://www.nagaof.jp/selp_kitakase/06_menu/index.html

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■取材レポート:伏見彩、中村圭子
■取材日:2022年5月27日

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